日本人の投資状況が変わってきたかも!? それでも相変わらずマイナーな外国株投資


日本証券業協会のデータ「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書 (29年度: 毎年改定)」が公表されておりましたので一部を紹介いたします.


去年までは書簡にて調査を行っていましたが, 今年からはインターネット調査に切り替えています. そのため, 端々で統計に差異が見られます.

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事例
注文方法について, 過去の統計では証券会社の店頭での注文が比較的大きな割合を占めていましたが, 今回の統計からは店頭注文が減少し, 代わりにインターネット取引に顕著な増加が見られます.


この様に, データ収集方法の変更により, 過去の統計と比較してその割合に変化が見られた部分もありますが基本的には殆ど状況が変わっていません.


データに変化が見られないなら紹介しても仕方ないかなと思ったんですが, 普段の生活で個人投資家に出会う機会って基本的には無いですから. そんなわけで世間一般の個人投資家が置かれている状況をおさらいすべく本データを抜粋して紹介することといたしました.


調査対象・・・20 歳以上の証券保有者
標本数 ・・・5073
調査方法・・・インターネット



回答者の 6 割は現役世代

投資家で最も厚い層は 50 代のようですね. 続いて 60 代, 40 代と続きます. 私は 30 代前半ですが, 30 代は 20 代とひとくくりで構成比の 8.6% しかありません. これらの世代は 40 代と合わせて自助努力による資産形成が望まれますが, 実際に行っている人は少数にとどまっていることが示唆されます. ちなみに性別は約 8 割が男性です.


個人投資家の年収は 6 割が 500 万円未満

年収は 300 万円以下が構成比で最も多く 全体の 34.9% を占めています. 次いで 500 万円以下の 23.7%, 700 万円以下の 16.3% と続きます. 構成比の約 6 割 (58.6%) が年収 500 万円以下の方々です.


この 6 割の大半を占めるのは平均年収が 500 万円を下回る 20-30 代と, 年金収入が主な収入源となり平均年収が 300 万円台まで下がる 60 代以上と推察されます. これら世代の合計は構成比全体の 46.6% を占めていますから残りの 12% は現役世代 (40-60歳) で年収 500 万円以下の方がいらっしゃるのだと思います.


さて, その一方で年収が 1000 万円を超える方も 10% ほどおり, 年収 700 万円以上の方を含めれば構成比の 25% 程度を占めています.


ちなみに, 個人投資家の平均年収は 533 万円程度です.
日本証券業協会の試算で求められた個人投資家の平均年収は 533 万円となっています. 高年収に引っ張られて全体の平均は若干上振れしていますね.


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投資は金持ちの道楽ではありませんし, 私たち一般的な会社員が資産形成を行うための一手段にすぎません. 銀行にお金を預貯金として積み立てることも, 証券会社を通して株式へ積立投資することも, 経路は違いますが社会に資本を提供するという事では同じことをしています. リスクを取っているという意味では預貯金として積み立てる事よりも株式投資を行う事の方が, よほど価値の高い行動といえるでしょう. 個人投資家は公明正大に利益を追求していきましょう. 株式投資の社会的意義についてはこちらを参照ください.




個人投資家の職業で最も大きな割合を占めるのは一般社 (職) 員

紫色がそうです. 管理職以外の勤め人が構成比の 23% を占め構成比の 1 位です. 続いて無職又は年金のみで 23%, 管理職の 13.9% となっています. この表は 65 歳以上の構成比と無職又は年金のみの構成員比がおよそ一致するんだなと思ったくらいで特にコメントはありません.


ちょっと一気になるのがその他 4.6% です. この質問ではおよその職業が網羅されていますがその他に属するのはいったい何でしょう. 政治家さんとかでしょうか.


個人投資家の金融資産保有額1000-3000万円が最大

個人投資家の半数は 1000 万円超えの金融資産を持ち, 1000-3000 万円が 28.2% と最大の構成比を占めています. また, 全体の 10% は 5000 万円以上の金融資産を有することが分かります.


金融資産 3000 万円以下はマス層とよばれており, 世帯数の分類でも本世帯が構成比の 8 割前後を占めることが知られています. 証券業協会の統計でもこの例にもれず, 金融資産 3000 万円以下が構成比の約 79% を占めています.


アッパーマス (3000-5000 万円) および純富裕層以上 (5000 万円以上) の構成員はそれぞれ 10.5% および 10.7% となっており, 2015 年の野村総合研究所ニュースリリースで示された アッパーマス世帯割合 13%, 純富裕層以上世帯割合約 8% と比較すると 2 年間でアッパーマス世帯が純富裕層以上に 2% ほどシフトしたことが分かります.


野村総合研究所は日本全体の世帯数での推計している一方で, 証券業協会は投資家個人が置かれている状況を推計しています. よって元データが異なるためにこれらの結果を直接比較はできません. それでもこの 2 年間は好調な経済状況によりアッパーマス以上の方にはその恩恵が顕著に表れたことを示唆しています.
ちなみに日本証券業協会の試算で求められた個人投資家の平均金融資産保有額は 1828 万円となっています. 平均年収と同様に高額の金融資産保有者に引っ張られて全体の平均が上振れしていますね.

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有価証券保有額は 100-300 万円が約 21% で最も多い

(公社債, 投資信託, 株式を合わせた額です)

最も構成比が大きいのは 100-300 万円の 21% です. 100-1000 万円の保有額で全体の約半数の 50.4% を占めています. そして保有額を 1000 万円で区切った場合, 全体の 74.6% を占めていることが分かります. 次いで 1000-3000 万円の 16%, 3000 万円以上で全体の 9.3% です.


全体の ¼ は 1000 万円以上の有価証券を保有していますね.

ここまでくると受け取り配当金が 20 万円を簡単に超えられるようになりますから, 配当再投資の効果も実感しやすくなってくるでしょう. 何せ手取り 1 ヵ月分近くの金額が何もせずに入ってくるうえに, それでさらに投資が行えるのですから資産形成がより楽になります.

ですから, 有価証券保有額 1000 万円はゴールではなく始まりだと思った方が良いですね. 仮に 20 代でここまで来れたなら, 30 代で給与も受取配当金も年と共にさらに上がります. そうなれば, とても楽に投資を続けることができるでしょう.


日本証券業協会の試算で求められた個人投資家の平均有価証券保有額は 1009 万円となっています.


個人投資家の投資先 (保有株式の種類: 複数回答)

今回の記事で私が最も触れたかった部分はここです!!
国内投資家が選好する投資先は圧倒的に国内偏重であることが知られています. ですが, 今年に入り外国株, 特に米国や中国株への関心がニュース, 雑誌等でも高まってきています.


この様な状況の中で, 国内投資家も外国株への関心の高まりから, 外国株を投資先として選好する方が増えることが予想されました.


それでも国内上場国内株式が 96.6% で圧倒的
しかし, 実際の投資行動に照らし合わせてみてみると, 国内上場国内株が 96.6% で圧倒的多数を占め, 次いで国内上場外国株が 4.6%, 持ち株会が 4.2%, 非国内上場外国株が約 4.1%, 非国内上場国内株 3.1% となっています. 外国株投資家は相変わらずマイナーな存在であることが伺えますが昨年度の統計結果と比べると少しばかり様子が変わりました.


昨年と比較した統計データは以下の通りです (カッコ内は 2016 年のデータです).
2017 (2016)
国内上場国内株 96.6% (92.3%)
国内上場外国株 4.6% (3.5%)
持ち株会 4.2% (8.2%)
非国内上場外国株 4.1% (2.4%)
非国内上場国内株 3.1% (3.5%)
.
2017 年に入り外国株投資家が増加を見せました. 国内上場外国株と非国内上場外国株を合計すると 8.7% を占めます. 2016 年の統計では 5.9% ですからおよそ 1.47倍に 増加しました. しかしそれでも, 投資家全体で見ればその変動幅は 2.8% しかありません.

米国株ブログ村の村民が増えたり, 雑誌で外国株特集が組まれるほどに関心は高まってきていますが. 投資先としては未だにマイナーであることを示すと言えるでしょう.

ちなみに人口に直すとおよそ115万人が外国株へ投資を行っています.
ね?? まだまだ少ないでしょ??


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分散投資を心がけよう
将来への不安を払拭する手段として投資を行う方も多いと思いますが, その将来不安の原因は日本国が置かれている人口動態の推移予測であったり増え続ける公的債務であったりするわけです.


広く国際分散投資を行っていればこれらの影響から自分が持つ金融資産を逃がすことができます. しかし残念ながら, 主な投資先として日本を選択した場合, 結局はその国が持つ基本的な問題や影響からは逃れられません.


人口動態のような基本的な問題は, その国に根差す個人や企業に等しく降りかかることになります. よって日本株投資を通してこれら問題から逃れるすべは無く, 投資により収入の複線化を図ったものの, 元をたどれば全て同じ船に乗っているならば目的を果たすことができません. 結局は自分が持つ人的資本も金融資産も日本へ集中投資することになります.


私は悲観的な人間です. ですが, 自分の人生には楽観的でいたいと思っています. そのための勉学, そのための投資ですが, やはり日本が置かれている状況にはなかなか楽観的にはなれません.


このような中で私は息子を授かりました.
この息子とこれから産まれるであろう兄弟たちが, できる限り本人たちが願う人生を歩んでほしいと思っています. その支えとなれるように日本という慣れ親しんだ国にこだわらず, 米, 中, 英, 日本 の様に広く国際分散されたポートフォリオを組んでいます.


さて, 長くなりましたがこれにて以上です. 今回の統計であなたはどこに位置する投資家でしたか?

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関連記事です.

株式という仕組みが社会の発展を支えています.
株式投資の社会的意義

昨年の統計結果です. 個人投資家が置かれた状況をまとめました.
日本人の投資状況について

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